金糞峠(比良山系)シャクナゲ尾根   2001.5.12(晴) 

リフト前駐車場~神爾谷を経て北比良峠~八雲が原休憩所(昼食)~北比良峠(シャクナゲ尾根)金糞峠付近~
アオガレ~駐車場

何時も風雲を呼ぶ雨男K氏と今日はシャクナゲ見物としゃれ込んだ。不思議なことに今日は晴れ。いつもは寂しい雨男が2人空を
見上げて「どうも天気がよくないですなぁー」と言いながら歩き出すシーンで始まるのですが。
50分ぐらい登った所で朝早く家を出たK氏は朝食べてこなかったので昼食用のサンドウィッチを全部食べてしまう。
朝食はどうしたの?の答は電車の中で500と350の缶ビールとのたまう。これから登るというのに・・・・・・・と目が点になりそう
だったが、氏曰く昔はアルコールを入れると「さあやるぞと元気が沸いてきたものだ 登る前にはよく飲んで元気をつけた」
 なんと彼はビールを健康飲料と思い違いしているのでは・・・・(5年ほど前は北岳を広河原から1日で往復した氏であるが)
そんな訳で弁当がなくなったので昼は八雲が原の休憩所で摂る事に満場一致で決定。北比良峠からシャクナゲ尾根を伝い
金糞峠に向かう予定を若干変更。寄り道しない人生なんて,道草食わない人生なんて、ビールのない人生なんて、と近代的
合理主義・能率至上主義とは正反対の我々は八雲が原に向かう事になった.氏の目的は休憩所の冷えたビールかもと思い
ながらの寄り道コースでした。
休憩所の前のスキーコースの端に満開のシャクナゲが妖艶な姿で迎えてくれました。思わずデジカメを取り出して写しました。
随分背の高いシャクナゲでした。休憩所前で食事、K氏がうどんと500のビールを抱えて休憩所から出てきたのは云うまでもない。
食事を終えてシャクナゲ尾根へ向かったが道を間違えて50mぐらい戻りシャクナゲ尾根を行く。思ったより人に出会わなかった。
ほとんどの人は武奈ヶ岳へ向かったようだ。シャクナゲは開ききった状態で満開後期様式であったので、来年は連休の最後の日に
訪ねようと早くも来年の山歩きの約束をしました。

咲き初めの風情のあるのもありました 桃源郷?現出現場

シャクナゲは金糞峠から堂満岳に向かう道際が見事でした。その見事な花の下でK氏持参の憂い好きィーを水割りにして飲んだ。
天国から井上さん(付録参照)が見ているのではないかと思いながら、シャクナゲの花の下に桃源郷を観たのでした。他人には
酔っ払いの汚いおっさんが居てこの天上のような雰囲気を思いきり汚しているように見えたかもしれません。

金糞峠から北比良の里の我が家を望む(池は見えるのですが)

帰りはほろ酔いでアオガレを降り駐車場へ。
キビタキ、オオルリ、ミソサザイ等々の美声を楽しんだが、もう鳥の名前は忘れた。 帰路、K氏は7-11に寄り帰りの車中で飲むビールを買い込み、笑顔で車中の人となりました。T駅についたら行き付けの呑み屋で・・・・(T)

出会った人  沢山
出会った鳥  キビタキ オオルリ ミソサザイ ウグイス 等々

付録 

      比良のシャクナゲ      井上 靖

 むかし写真画報といふ雑誌で"比良のシャクナゲ"の写
 真を見たことがある。そこははるか眼下に鏡のような湖
 面の一部が望まれる比良山系の頂きで、あの香り高く白
 い高山植物の群落が、その急峻な斜面を美しくおほって
 ゐた。
 その写真を見たとき、私はいつか自分が、人の世の生活の
 疲労と悲しみをリュックいつぱいに詰め、まなかひに立
 つ比良の稜線を仰ぎながら、湖畔の小さい軽便鉄道にゆ
 られ、この美しい山てんの一角に辿りつく日があるであろ
 うことを、ひそかに心に期して疑はなかった。絶望と孤
 独の日、必ずや自分はこの山に登るであろうと──。
 それからおそらく十年になるだろうが、私はいまだに比
 良のシャクナゲを知らない。忘れていたわけではない。
 年々歳々、その高い峯の白い花を瞼に描く機会は私に多
 くなってきてゐる。ただあの比良の峯の頂き、香り高い花の
 群落のもとで、星に顔を向けて眠る己が睡りを想ふと、
 その時の自分の姿の持つ、幸とか不幸とかに無縁な、ひ
 たすらなる悲しみのやうなものに触れると、なぜか、下
 界のいかなる絶望も、いかなる孤独も、なほ猥雑なくだ
 らぬものに思へてくるのであった。

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